
「いつもと同じレシピなのに急に膨らまなくなった」
「生地が冷たい」
「パンの食感が重たい、固くなる」
実はこれ、寒くなってきた季節が原因かも。
こんばんは、らむずんです。
今回は、気温が低くなってくる季節によくあるパン作りの失敗や対策、寒い季節の落とし穴などについて解説していきます。
寒い時期のパン作りで起こりやすい失敗とその原因
気温が低くなる季節のパン作りでよくある失敗はいくつかありますが、それらはバラバラに見えて、実はほとんどが「温度の低さ」と「乾燥」からつながる失敗がほとんどです。ここからは失敗例を大きく4つに分けてまとめたので見ていきましょう。
発酵させても膨らまない
いつも通り、もしくはレシピ通りの発酵温度・発酵時間で作っているのに、時間が経ってもほとんど変化がなく、生地が小さいまま膨らんでいないという状態。
なぜ起こる?
- 室温が低い
- 生地温度が低い
- 材料の温度が低い
寒い季節は室温(パンを作っている場所の温度)が低くなります。その外気に触れることで、パン生地の温度も下がっていきます。
生地温度が下がると、イースト(酵母)の働きも鈍くなり、いつもより発酵に時間がかかってしまうのです。
さらに、材料の温度も生地温度の一部になります。とくに、仕込み水は生地の温度に影響を与えやすく、室温が低いうえに仕込み水まで冷たいまま入れてしまうと、生地温度をより一層下げていく原因になります。
ただし、仕込み水をぬるま湯にして対策をしても、生地を入れるボウル(容器)が冷えていたり、生地をこねる手やキッチン台が冷えていれば、その温度が生地に伝わることで、生地温度は下がってしまいます。
そうして生地温度が下がった状態のまま、例えば30℃に設定した発酵環境に置くとします。こうした場合、環境は30℃でも、生地温度のスタート地点は低いので、生地全体が温まるまで時間がかかることになり、いつもより発酵に時間がかかってしまう原因にります。
生地が乾燥している
いつも通りのレシピ、水分量で作ったはずが、こねても生地が硬かったり、丸めるときに表面が荒れたりする状態。その状態のまま進めてしまうと、生地は伸びづらく発酵を妨げる原因にもなります。
なぜ起こる?
- 室内の乾燥
- 各工程で、ラップや濡れ布巾をしていない
- 発酵中の湿度が足りていない
寒い季節は空気が乾燥するため、生地の乾燥につながります。
乾燥することで粉に対する水分量が低くなり、生地が固くなってしまいます。
ボリュームが出ない
発酵後、いつもより膨らみが悪かったり、生地を触ると表面が硬い・締まっているというような生地の状態。
なぜ起こる?
- 発酵不足
- 生地の冷え
- 安定しない発酵温度
気温が低い・乾燥しているなどが原因で発酵スピードが落ちると、発酵しても十分にガスを出し切れず、生地の膨らみは悪くなります。
発酵後の生地の状態はパンの食感にも影響してしまいます。
食感が重く詰まった感じになる
焼きあがったパンの食感が重く、中身が詰まったような状態。軽さやフワフワ感がなく、くちどけが悪い、老化が速いなど。
なぜ起こる?
- 発酵不足
- 生地温度が低いまま焼いている
- 乾燥により生地の伸びが悪い
気温が低くなる季節で一番多い失敗は発酵不足ですが、発酵不足のまま焼いたパンは、ガスが十分に含まれていないため、中が詰まったまま焼きあがってしまいます。
さらに生地が冷えた状態でオーブンにいれると、窯伸びも弱くなります。これらは、パンの老化の速さにもつながってしまいます。
寒い季節のパン作りがうまくいかない理由
上記でまとめた通り、気温が低くなる季節でのパン作りでよくある失敗のほとんどが、「温度の低さ」と「乾燥」からつながる失敗であることがわかります。
気温が低いと生地の温度も下がりやすく、発酵に欠かせないイーストの働きが鈍くなる。
空気が乾燥していることで、生地も乾きやすく発酵による膨らみの妨げになる。
つまり、「温度の低さ(生地の冷え)」と「乾燥」この2つを防ぐことで、寒い季節のパン作りによくある失敗を回避できる、ということです。
冬のパン作りで注意すること
冬のパン作りの成功の鍵は、「生地の冷え」と「乾燥」
この2つを注意することです。
寒い季節は「発酵中」の温度だけでなく、「こねる前」からの温度の管理が大切になってきます。
生地を冷やさないための工夫
寒い季節、30℃前後の環境で発酵しても、生地そのものの温度が低いと発酵がゆっくり進みます(温度によっては休止することも)。
発酵のスタート時点からすでに生地が冷えている——ここが意外と見落としがちなポイントです。
「生地の温度」が発酵を始めるスイッチになるので、最初に生地が冷えていると時間がかかってしまうのです。スムーズで安定した発酵のためには、生地を冷やさない工夫が必要になります。
材料・道具の冷えを防ぐ
- 冷たい作業台
- 冷たい手先
ステンレスや大理石の台は冷えやすく、生地の温度を奪います。
生地をこねたり、成型したりする際、冷たい手で生地に触れることも、生地の温度を下げる原因になります。
✓対策
- バットやトレーに熱湯を張り、作業前に台を温めておく
- 生地の温度を奪いにくい 木製のこね台 を使う
- 布やまな板を敷いて、冷たい面に直接触れさせない
- 作業前に ぬるま湯で手を温めておく
粉や水が冷えすぎていないか確認する
材料の温度は生地の温度に直接影響します。
とくに粉や水が冷たいと、混ぜた瞬間に生地全体の温度が下がるため、発酵の立ち上がりが遅くなりがちです。
✓対策
- 材料は室温に戻してから使う
- 冷蔵庫から出した材料はすぐ使わない
- 仕込み水は温めておく
作業中に温度を逃がさない
こねている間も、発酵中も、成形している間も、冷たい空気に触れる時間が長いほど、生地温度はどんどん下がっていきます。
冬は特に、生地が冷えるスピードが速いので、作業中の“温度ロス”が発酵の遅れにつながりやすいです。
✓対策
- 手早く作業する
- 触りすぎない
- 途中で放置しない
ベンチタイム中の冷えに注意
レシピにわざわざ “温かい場所に置く” と書かれていないことが多いので見落としがちですが、放置しているあいだに生地は確実に冷えていきます。
ベンチ中に生地が冷えると、生地が緩みにくくなるだけでなく、そのあとの二次発酵で発酵が遅くなったり、膨らみが弱くなったりと影響が出ます。なのでベンチタイム中の生地は、発酵の一部として考えて、一次発酵と同じように 温かい場所で休ませる ことが大切です。
発酵中の温度を保つ
発酵中は、生地を温かい環境に置くことがとても大切です(低温発酵などの製法は除く)。 生地の温度を下げないために、 “発酵のスイッチが入り続ける環境” を作ってあげることがポイントになります。
✓対策
- あたたかい環境をキープする
- レンジ庫内にお湯を入れたコップを一緒に置く
- 簡易発酵ボックスを作る
- バスタオルなどでボウルを包む
より詳しい発酵のコツ・オーブンの発酵機能がない場合の代用方法などについてはこちらをご覧ください⇩
生地を乾燥させない工夫
生地の乾燥は、「うまく膨らまない」「ボリュームが出ない」「食感が硬い」などパンの仕上がりにも影響します。
作業中も乾燥を防ぐ
発酵中はもちろんですが、分割時、ベンチタイム中、成型時の生地の乾燥も注意が必要です。できるだけ生地が空気に触れないように、硬く絞った濡れ布巾やラップなどをかけておくことが大切です。少しの放置でも生地の表面は乾いてしまうので、各工程の作業はできるだけ手際よく、とくに、何個かに分割するパンの場合、成形待ちの生地の乾燥には注意です。
逆にやりがちな失敗
温めすぎてしまう
生地を冷やさないようにと、仕込み水を熱くしすぎる・ストーブやヒーターの近くなど
極端に暑い場所に置くと、生地がダレてべたついたり、過発酵になってしまうことも。
生地の温度は、ゆっくりそして均一に、適切な温度に温めるのが理想です。
人間にも心地よいと感じる温度環境があるように、酵母(イースト)にも活動しやすい温度があるということを忘れずに。
発酵に適した温度など、詳しい解説はこちら⇩
まとめ
冬のパン作りで覚えておきたいのは、 「冷え」と「乾燥」を防ぐことができれば安定するし、 たとえ完璧にできなくても“ゆっくり進む季節”だと知っていれば十分ということ。
「そんなにパンにつきっきりなんてできないし、 温度の細かい調整なんて家では無理…」 そう思う人もいるかもしれませんが、実はそれでも大丈夫なんです。
温度が低いと発酵は“ゆっくり進む”という性質があるので、 レシピより時間がかかっても、ゆっくり発酵させる という方法もパン作りの立派な正解です。
むしろあえてゆっくり発酵させて時間をかけて作るのもいい方法です。生地が熟成されてとてもおいしいパンになります。
どちらの方法でも共通して大切なのは、 時間ではなく、生地の状態を見て判断すること。 暑い季節は過発酵に注意、寒い季節は発酵不足に注意。
レシピの時間に合わせようとして焦る必要もなく、家庭の環境でできる範囲で、 生地がちゃんと発酵できるように工夫してあげることが大切です。