
「塩とイーストは離して入れましょう」
「2つのボウルに分けておきましょう」
「イーストにめがけて水を入れましょう」
パンのレシピでこんな説明を見かけたことはありませんか?
材料を計量して混ぜるまでの工程に書いてあることが多いです。
一方で、書いていないレシピもあったりして、結局なにが正解なのか、迷ってしまう方も多いのではないでしょうか。
意外とこういう”細かい決まりごと”が、パン作り初心者にとって、最初のつまずきポイントだったりしますよね。
でも実はこれ、そこまで気にしなくても、やらなくても、大丈夫なんです。
「じゃあレシピを書いてる人は噓をついている?」と思うかもしれませんが決してそうではありません。
むしろ、とても丁寧で親切なレシピだと思っています。
今回の記事は、なぜこのような”細かい決まりごと”があるのか、なぜ気にしなくてもいいと言えるのか、ちょっとした矛盾の理由を、わかりやすく解説していきます。
塩とイーストは離すべき?
まず結論から言うと、理論上は塩とイーストは離したほうがいいです。
ですが、家庭でのパン作りでは、そこまで気にする必要はありません。
ただし、理由を知らないまま省くのはNGです。
「理論上は離すべき」の理由を理解していないと失敗の原因になることもあるので、
詳しく見ていきましょう。
なぜ塩とイーストは離すの?
塩にはイーストの活動を抑制する働きがあるからです。
塩とイースト(+水)が長時間触れた状態になると、イーストの力は弱まり、さらには死滅することもあります。
そうなると、パン作りに欠かせない発酵がうまくできない状態になります。
塩とイーストは、パン作りに欠かせない大切な材料。
ですが同時に、塩はイーストの働きを抑える存在でもあります。
「塩とイーストは離して入れる」や、
「ボウルを2つ用意し、Aのボウルに強力粉と砂糖、Bのボウルに強力粉と塩をいれる」などといったレシピが存在するのは、こうした失敗を確実に防ぐためなんです。
ただし、ここで大事なのは「長時間」という条件です。
塩とイーストが、「一瞬」「短時間」近くにあっただけで、すぐにイーストが死滅するわけではないんです。
家庭ではそこまで気にしなくてもいい理由
離すと言われる理由を理解したうえで、この工程は省いてしまってOKです。
家庭でパンを作るときは、材料の計量をしたあと、すぐに混ぜてこね始めるはずです。
その場合、塩とイーストが触れている時間は、数十秒~数分くらい。
そのくらいの時間なら、過度に心配する必要はありません。
こねてしまえば全体に分散しますし、離してからこねる場合とほぼ変わらないことになります。
工程の多いパン作りなので、できれば手を抜けるところは手を抜きたいですよね。
ちゃんと理由を知ったうえで工程を省くことで、
失敗を回避しながらも、必要な部分だけ力を抜くことができます。
おすすめの混ぜ方
粉類の材料を同じボウルの中で混ぜる方法です。

- ボウルをひとつ用意
- ボウルに計量した強力粉を入れる
- 強力粉の上に、塩・砂糖・イーストなど(水や牛乳、油脂以外の粉類すべて)を入れる。
- ヘラやスプーンなどで、各材料を強力粉でコーティングするように混ぜてから全体を混ぜる(一気に全部混ぜてもOK)
- 全体に均一に混ざったら水や牛乳の水分を入れる
- ヘラなどで粉っぽさがなくなるまで混ぜる
- 台に出してこねる
「一気に混ぜてしまいたいけど、ちょっと心配ではある」という人は混ぜる前に、まずイーストを強力粉でコーティング、塩を強力粉でコーティングしてから全体を混ぜるという方法です。
同じボウルの中に分けて入れる(一応)方法ですが、実際はこれも適当で大丈夫。
コーティングせずに一気に混ぜてもOKです。
私はこれで失敗することなくパンが焼けています。
離したほうがいい場合もある
ただし例外もあります。
ホームベーカリーにこねから焼成まで任せる場合
- イーストの自動投下機能がない機種
- 数時間後にスタートする予約設定
このような場合は、塩とイーストが、「長時間」同じ場所に触れ続ける可能性があります。
失敗防止のために、塩とイーストが直接触れないように離して入れましょう。
「イーストをめがけて水を入れる」べき?
これもよく書いてありますよね。
「ドライイーストに直接ぬるま湯をかける」など。
これも実際はやってもやらなくてもどちらでもいいんです。
※ドライイーストを使用する場合
なぜイーストめがけて水を入れるの?
ドライイーストは、水分と触れることで活動を始めます。
- イーストをしっかり目覚めさせるため
- きちんと溶かすため
- イーストが生きているか確認するため
このような理由から、イーストめがけて水を入れる・イーストを水に溶かすなどという方法が存在します。
ドライイーストを使用する際にこの方法を取り入れる場合は、安心感があるというのが一番のメリットではないでしょうか。
やらなくてもいい理由
ドライイーストを使用する場合。
そもそもドライイーストというのは、活動力が非常に安定している酵母です。
正しく(水分量や温度)水分が加われば、自然に活動を始めます。
そのため、事前に活性化させたり、目覚めさせたりしなくても、通常の工程で十分に働きます。
ドライイーストは乾燥した粉末・粒状ですが、きちんと捏ねていれば均一に混ざります。
ムラになったり、溶けずに残ってしまう場合は、他に原因がある可能性があります。
なので、ドライイーストを使用したうえで、あえて、イーストめがけて水を入れたり溶かしたりするのは、安心感のため、ともいえます。
逆に言えば、インスタントドライイーストを使っているなら、特にやる必要のない工程ですが、有効な場合もあります。
こんなときは有効
ドライイーストにめがけて水を入れたり、事前にイーストを水で溶かす必要があるケースは以下の通りです。
✓イーストが古い可能性があるとき
→生きているか確認できる
✓室温や材料の温度が低いとき
→イーストを起こしやすくする
✓生地の水分が少ないレシピのとき
✓こねないパンレシピのとき
→均一に混ぜる・溶けやすくする
いずれの場合も水の温度管理には注意が必要です。
水分の温度が熱すぎるとイーストは死んでしまいますし、
冷たすぎると活性が遅くなったりします。
イーストの種類によっては、予備発酵が必要なタイプのイーストもあります。
よく使われる初心者にも扱いやすいインスタントドライイーストは粉に混ぜてそのまま使えるようになっています。
このように、使用しているイーストのタイプを把握したうえで工程を選ぶことが大切です。
まとめ
パン作りの工程の中で、実は手を抜いてもいいところって結構あるんです。
工程もそうですが、例えばボウル2つ用意するところを1つにできれば、洗い物も減りますし、それだけでも大きいメリットになりますよね。
ルールを丸ごと覚えるよりも理屈を頭に入れておくほうがパン作りのいろんな場面でも応用できるようになります。
ぜひ、日々のパン作りの参考にしてみてくださいね^^