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パン生地が膨らまない原因と対策|知っておきたい発酵の基本

パン作りでよくある悩みのひとつが、「生地がなかなか膨らまない」問題。


この原因の多くは、発酵がうまく進んでいないことにあります。

発酵と言うと難しそうに感じますが、その仕組みを知っておくだけで失敗はぐっと減ります。


この記事では、パン生地がどうやって膨らむのかという発酵の基本をやさしく解説し、そのうえで、膨らまない原因とその対策をわかりやすくまとめました。

初心者でも理解しやすい順番で解説していくので、一緒に確認していきましょう。

 

 

どうしてパンは膨らむのか

食パンや菓子パンなどの一般的なパンを思い浮かべてみてください。

粘土のように重たくなく、噛むとカチカチでもなく、生地はふんわりとしていますよね。

そのふんわり感は、焼く前に発酵させて生地を膨らませるという工程があるからなんです。

発酵によって空気を含んだ生地を焼き上げることで、ボリュームのある、ふわふわしたパンが生まれます。

 

※ただし、ベーグルなどは発酵時間を短くして(もしくは発酵せず)、茹でてから焼きます。そうすることでふんわりと大きく膨らむのではなく、むぎゅっと、もちっとしたベーグル特有の食感になります。

 

パン作りにおいて「発酵」という工程は、食感や仕上がりを左右する大事な工程です。

 

では、その「発酵」とは一体どんなものなのか、どのような仕組みで行われるのかを、詳しく見ていきましょう。

 

発酵のしくみ
パンを作るには、まず、主な材料である小麦粉・水・糖・塩、そして発酵に欠かせないイースト(酵母)を混ぜて、生地をこねます。
 
イースト(酵母)というのは、生きた微生物のこと。
 
この微生物が、生地の中にある糖をエサにして分解し、炭酸ガス(二酸化炭素)を発生させます
 
このようにイーストが活動を始めると、生地のなかにガスが溜まり、それによって生地は少しずつ膨らんでいきます。
 
つまり「発酵」とは?
酵母の働きによってガスが発生し、生地がガスをためて膨らんでいく一連の流れを「発酵」といいます。
 
このように「発酵」させて、膨らんだ生地を焼くことで、あのふわふわしたパンが焼き上がるのです。
 

発酵させても生地が膨らまない原因

発酵はパン作りに欠かせない大切な工程ですが、 「発酵させたのに生地がふくらまない」というトラブルは、実はよく起こります。

発酵温度や発酵時間はレシピ通りにしているはずなのに、なぜかうまくいかない。

そんな経験に頭を悩ませたことがある人も、きっと少なくないはずです。

 

発酵で十分に膨らんでいない生地の状態のことを、発酵不足といいます。

 

発酵不足の生地をそのまま焼いてしまうと、焼き上がりが小さくなったり、食感が重く詰まった感じになったり、硬くてくちどけの悪いパンになってしまうこともあります。

 

実は発酵がうまくいかない原因はひとつではありません。

材料・温度・こね方・時間のかけ方・季節など…さまざまな要因が関係しています。

 

ここからは、発酵させても膨らまないときに考えられる原因と対策を、順番に見ていきます。

 

材料の影響

砂糖の入れすぎ

砂糖(糖)の入れすぎは、発酵に影響を及ぼします。

 

一般的に、強力粉に対して、砂糖は0%~12%、多くても15%までと言われています。

それ以上に砂糖を多く入れてしまうと、発酵に欠かせないイーストの働きが弱まり、発酵が進みにくくなることがあります。

さらに、生地がだれたり、べたついたりなど、作業性も悪くなってしまいます。

 

心当たりのある方は、レシピの全量の強力粉(小麦粉)に対して、砂糖が何パーセント入っているか、一度計算してみましょう。

もし入れすぎていた場合は、砂糖の量を適正な範囲に抑えることで、生地が膨らまないというトラブルの改善が期待できます。

 

塩の入れすぎ

塩は、強力粉に対して約1~2%の配合が、パン作りにおいて適正な量だといわれています。

適正量の塩を入れることで、パンの風味を整えるだけでなく、グルテンを引き締め生地にコシを与えたり、イーストの働きを安定させる効果があり、発酵や生地の安定に大切な役割を果たす材料です。

 

ですが、塩を入れすぎてしまうと、パンの味に影響を与えるだけでなく、イーストの働きが弱まったり、発酵が進みにくくなってしまい、発酵させても膨らまないというトラブルにつながります。

 

塩の計量は、慎重に行うようにしましょう。

 

イースト(酵母)

保存状態が悪かった・開封後時間が経っていた・古い、などの状態のイーストは、活動できる力が弱まっていることがあります。

 

このような状態のイーストを使うと、生地の中で発酵そのものが起きていなかったり、発酵が進みにくくなっていたりなど、生地が思うように膨らまないことがあります。

 

発酵がうまくいかないときは、使用しているイーストの状態を確認しましょう。

(酵母によって保存方法や扱い方は変わってくるので、今回は初心者に扱いやすいドライイーストを使用していることを前提にお話しします。)

ドライイーストの保存方法
ドライイーストは湿気や暑さに弱いです。未開封の場合は常温保存が可能ですが、暑い夏などは念のために、冷暗所や風通しのいい場所での保存がおすすめです。

開封後は空気に触れると活動を始めてしまうので、開封後はすぐに使い切るか、密封して冷蔵庫で保存することをおすすめします。

 

こね不足

発酵させても膨らまないとき、こね不足が関係していることがあります。

 

パン生地は正しくしっかりこねることで、小麦粉と水が反応し、グルテンという網目状の構造が生まれます。

このグルテンが、イーストが発生させたガスを包み込む膜のような役割を果たし、生地の中にガスを閉じ込めることで、膨らんでいきます。

 

ですが、グルテンの形成に必要なこねが足りないと、イーストが発生させたガスをとどめておくことができません

 

つまり、こね不足で生地の中にガスを包み込む仕組みが十分にできていないまま発酵させると、ガスを上手にため込むことができないので、発酵させても膨らまないということが起こります。

 

穴の開いた風船に空気を入れているようなもので、どれだけ空気を入れても膨らまないのと同じです。

 

さらにこね不足のまま焼いたパンは、翌日硬くなりやすいです。

フワフワの美味しいパンを作るには、こねる作業はとても大事な工程になってきます。

 

このようなこね不足を防ぐために、グルテンがしっかりできているかを見極めてから発酵させることが大切です。

こね完了の目安

つやのある滑らかな生地であることと、生地を薄く伸ばした時に、指が透けて見えるくらいの膜ができていること。この膜ができていればグルテンがしっかり形成されている証拠です。

 

発酵の温度が低い

パン生地を発酵させても膨らまない大きな原因の一つが、発酵温度や生地温度の低さです。

特に秋から冬にかけて気温が低くなる季節に起こりやすい失敗の一つです。

オーブンの発酵機能を活用するか、なければ、暖房をつけた温かい部屋・日の当たる場所・お湯を入れたコップなどを生地と一緒にオーブンの中に入れておく(お湯から湯気が出てオーブン庫内が温まります)などで、以下を参考に、温度を管理しましょう。

 

発酵に欠かせないイースト(酵母)には活動に最適な温度があります。

  • 4℃以下…活動が停止する
  • 28℃〜35℃…イーストが最も活動しやすい温度
  • 45℃前後以上…イーストの活動が鈍り始める
  • 60℃前後以上…イーストが死んでしまう

大体30℃前後なら、問題なく発酵します。

 

それより温度が低くても、4℃以上であれば、通常よりゆっくりのスピードではありますが発酵は進みます。

例えば、冷蔵庫や野菜室などの環境で一晩かけて発酵させる「オーバーナイト法」「低温長時間発酵」などは、この低温でゆっくり発酵する性質を利用した方法です。

逆に、高い温度(40℃以上)で発酵させると通常より短い時間ではやく発酵が進みます。(パンの風味が劣る、イースト臭がする可能性あり)

 

例えば

冬に「30℃で60分、2倍の大きさになるまで発酵させる」というレシピ通りに作る場合で考えてみましょう。

 

この季節は室温が低く暖房をつけたとしてもやっと20℃に届くくらい。

住んでる地域によってはもっと寒いかもしれません。寒いと手も冷たくなります。

手ごねの場合、手の冷たさやこね台の冷たさが、生地にそのまま伝わります。

 

さらに、仕込み水をぬるま湯ではなく冷たいまま入れてしまうと生地の温度はどんどん冷たくなります。

生地が何℃まで冷えてしまったかは温度計で測らないとわかりませんが、この条件だと10度前後まで下がっていてもおかしくありません。

 

その冷えた生地をそのまま、オーブンの発酵機能を使ってレシピ通り30℃に設定して発酵を始めるとします。

レシピ通り60分発酵させた生地は、おそらく2倍の大きさまで届いていなかったり、十分な膨らみが足りていない状態だと思います。

 

なぜかというと、そもそも冷えた生地の塊が30℃に温まるまでの時間がかかりますし、表面が温まっても生地の中心は冷えたままだと、発酵にムラができている可能性もあります。

でも「60分と書いてあるから」と言って、発酵不足のまま先に進んで焼いてしまうと、ボリュームのない中身の詰まった硬いパンになってしまいます。

 

レシピにはその人のいる環境の室温や水温、生地温度まで書かれていないことがほとんどです。

30℃で60分という2つの条件だけ合わせても、同じように発酵させることは難しいのです。

これは一次発酵でも二次発酵でも同じことが言えます。

 

このような場合の、膨らみが足りていない=発酵不足の場合は、焦る必要も、レシピ通りの時間を守る必要もありません。

発酵時間を増やして、発酵完了まで気長に待ちましょう。

過発酵を防ぐために、10分ずつくらい時間を延ばして、都度様子を見ましょう。

 

発酵完了の見分け方

時間ではなく、生地の状態を以下の方法で判断しましょう。

 

一次発酵完了の目安
膨らんだ生地に、生地がひっつかないように手粉をつけて指を差し込みます。指を抜いて穴が縮むことなく、そのまま残れば発酵完了のサイン、次の工程へ進む。穴が閉じたり小さくなれば、発酵不足のサイン、10分ずづ追加。指を抜いた時に生地が萎むと過発酵のサインです。
 
二次発酵完了の目安
成型した生地が1.5倍から2倍に膨らんだら、指で軽く押します。指の跡がゆっくり戻り少しあとが残るくらいが発酵完了のサイン。指の跡がすぐに戻れば発酵不足のサイン。指の跡がしっかり残る、ガスが抜けて萎む場合は過発酵のサイン。

 

レシピの時間はあくまで目安だということを覚えておきましょう。

 

乾燥

パン生地の発酵には、湿度も必要です。

生地が乾燥してしまうと、発酵中の膨らみを妨げるだけでなく、焼成中の膨らみが悪くなる・食感が硬くなる、などの失敗にもつながります。

そのため、こねた後の生地は、表面が空気に触れたままにならないように注意しましょう。

一次発酵・ベンチタイム・成型・二次発酵、どの工程でも、硬く絞った濡れ布巾や、ラップをかけるなどして、生地の乾燥を防ぐことが大切です。

とくに空気が乾燥しやすい冬は、いつもより注意が必要です。

 

また、打ち粉(手粉)のつけすぎもNG。

生地がべたつくからといって、粉を多く使いすぎると、パン生地の水分が奪われてしまい、生地の乾燥につながります。

打ち粉は最低限に抑えましょう。

乾燥を防ぐ工夫は、パンのふくらみや食感を守るための大切な工程のひとつです。

 

まとめ

心当たりのある原因は見つかりましたか?

生地が膨らまない(発酵不足)の理由には、材料の配合やこね不足、温度や湿度など、さまざまな要素が関係しています。

工程や材料の役割を理解し、生地の変化を観察するコツを掴めば、安定したパン作りができるようになるはずです。

ぜひ、次回のパン作りに参考にしてみてください。